ドライアイとは
涙液は目の表面を守るのに欠かせません。この涙液の量が不足したり、涙液の質のバランスが崩れることによって目の表面を潤す力が低下した状態をドライアイと呼びます。近年先進国を中心にドライアイ患者さんは増えており、日本では推定2,200万人ともいわれています。
ドライアイの症状
・目がゴロゴロする
・光がまぶしい
・目の痛みや乾き
・視界がかすむ
・目をあけていられない・重い
・結膜炎など、目の感染症にかかりやすくなる
ドライアイの原因
ドライアイは2,200 万人以上もの患者さんがいると推定されていますが病気としてあまり認識されていません。以下の項目に当てはまる方は注意が必要です。少しでも異常を感じたら眼科を受診しましょう。
(1)ご高齢の方
年を重ねると、涙の分泌量や質が低下します。
(2)過度のVDT(visual display terminals)作業をする方
パソコン、スマートフォンなど、モニターを見つめる作業を長時間行うことで瞬目が減り、ドライアイ症状が起こりやすくなります。
(3)乾燥した環境で過ごす方
冬の乾燥した季節でドライアイが悪化する人は数多くみられます。また空調が効いたオフィスで一日中仕事をなさる方、家庭で無防備に空調の風を顔にあてている方も注意が必要です。
(4)コンタクトレンズを使用している方
コンタクトレンズ(特にソフトコンタクトレンズ)を使用している方は目が乾燥しやすい状態にあります。目がごろごろする、充血するなどの症状が出る方はドライアイの可能性が高いです。
(5)喫煙する方
たばこの煙によって涙の状態が悪くなることが知られています。
(6)抗コリン薬などを内服している方
血圧を下げるお薬や向精神薬など「抗コリン作用」を持つ薬では涙の量が減少することがあります。また、最近ではテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(商品名:ティーエスワン)という抗癌剤によっても涙の量が減少することが知られています。
(7)屈折矯正手術をした方
屈折矯正手術とはレーザーで角膜を削って視力を向上させる手術です。一時的に知覚低下が生じ、術後3~6カ月程度ドライアイになりやすくなります。ほとんどの場合は一定期間が経過すれば改善されますが、中には長期に渡ってドライアイが改善されない場合があります。
(8)マイボーム腺機能不全(MGD)の方
眼瞼の縁にはマイボーム腺という脂を出す部位があります。加齢や体質によりマイボーム腺が詰まると脂が出にくくなり、涙を乾燥から守る油膜ができなくなるためにドライアイになります。
(9)結膜弛緩症の方
加齢に伴って白目の部分(結膜)が弛むと眼の表面に涙が貯めにくくなります。また、弛んだ結膜の摩擦によって眼表面に傷がつきやすくなります。
(10)自己免疫性疾患などをお持ちの方
シェーグレン症候群などの自己免疫疾患では涙を産生する涙腺が破壊され涙がほとんど出なくなります。
ドライアイの治療
(1)点眼薬
症状が軽い方は点眼薬で症状を緩和させることができます。人工涙液、ヒアルロン酸製剤、ムチンや水分を分泌促進する点眼薬、ムチンを産生する点眼薬などが用いられます。
(2)涙点プラグ
ドライアイの症状が強い方には涙の出口に栓(涙点プラグ)をして、涙の排出を抑制するような治療を行うこともあります。
(3)悪化要因の除去
長時間のVDT作業や運転では瞬きの回数が減って症状を悪化させます。意識的にな瞬きや適度の休みを取ることが重要です。また、涙液分泌を抑制する内服薬やコンタクトレンズ装用などを減らすことも効果的です。
(4)その他
目を温めることはマイボーム腺機能改善や目の疲れをとる効果があるといわれています。また、目の保湿のために加湿器を用いたり、エアコンの設定を変えることも有効です。市販のドライアイ専用眼鏡の使用なども有効だといわれています。